ビワの葉療法 (歴史編)
9月になりビワの葉のお話を書くには時期がずれてしまいましたが
ビワの葉エキス作りの行程を終えて落ち着いてからと思い
今回写真も一緒に掲載したいと思います。
ビワの葉はお庭で放置された天然のビワの木を
剪定される時期に患者さんや知り合いから頂く機会があって
以前からビワの葉のエキスを作っております。
ビワの葉を頂けることに本当に感謝してます。
今年は初めてビワの葉茶も作りました。
書いていくうちに長くなってしまい
何回かに分けてブログに綴ることにしました。
【ビワの葉の歴史について】
ビワの葉は昔からビワの葉の上にモグサを乗せた療法(ビワ温灸)や
お風呂に入れて入浴剤の代わりにしたり、漢方としても使われています。
薬草としてのビワの歴史はかなり古く、
インドの仏典の一つ『大般涅槃経だいはつねはんぎょう』に、
ビワの木を「大薬王樹」最高の薬木、「無憂扇」と名付け、
病気を治して憂いをなくすといった意味があります。
また、中国では明時代(1366~1644)に発行された『本草綱目』(1596年・李時珍著)に、
ビワの葉の効用について「嘔吐の止まらぬもの、
産後の口乾、煮汁を飲めば渇疾に主効があり、
肺気熱嗽及び肺風瘡、胸、面上の瘡を治す。胃を和し、気を降し、
熱を清し、暑毒を解し、脚気を療す」との記述があります。
分かりやすく書くと肺を清め、胃を和ませる
肺熱による痰咳、胃熱による嘔吐を治したり、
痰の少ない乾いた咳や、口の渇き。暑気にあたり弱った胃の回復に良く
顔のおできを治したり、足の痺れや痛みも取り除くといったことでしょうか。
鎮痛作用・抗酸化作用、抗菌、殺菌作用、炎症の抑制効果があります。
光明皇后が天平二年(730年)に「施薬院」(現在の病院の原型)を創設され、
病に苦しむ人々へ救済のためにビワ葉療法が用いられました。
僧侶が寺の境内にビワの木を植えて村人にビワの葉を患部に当てるという
ビワ葉療法を行い、その効果に絶大な信頼がよせられました。
そしてその療法は多くに知れ渡り
静岡県の禅寺「金地院」で行われた「金地院療法」は
ビワの葉に経文を書いて火にあぶり、それを皮膚にのせるというもの。
その後、ビワの葉をあてた上からもぐさをするという方法が生まれました。
次回は成分について書こうと思います。