胚移植に向けて整える|妊活鍼灸と中髎(ちゅうりょう)穴のはたらき
前回に引き続き ちょっと専門的になりますが
ちょっと書いてみます。
体外受精・顕微授精において
胚移植に向けた周期では、ホルモン値や内膜の厚さだけでなく
・血流
・自律神経
・免疫バランス
といった「体の土台」が整っていることも大切だと考えられています。
その中で、妊活鍼灸の臨床でよく使われるツボのひとつが
中髎(ちゅうりょう)です。
中髎は仙骨にある「八髎穴(はちりょうけつ)」のひとつで、
左右それぞれ、上から3つ目のくぼみ(第3後仙骨孔)に位置します。
この周囲には
・骨盤内臓を支配する骨盤内臓神経(副交感神経)
・外陰部や会陰部に関わる陰部神経(体性神経)
などが通っていて、
子宮や卵巣、骨盤内の巡りとも関係の深いエリアです。
中髎は古くから
・月経痛や月経不順
・下腹部の冷え
・排尿・排便の不調
・腰やお尻まわりの痛み
など、骨盤まわりの不調に対して使われてきました。
現代的な視点では
・骨盤内の血流を整える
・自律神経(特に副交感神経)への働きかけ
といった作用が期待されています。
胚移植に向けては
・子宮内膜の受容性
(受精卵を受け入れる準備が整ったやわらかい状態)
・安定した血流
(子宮にしっかり栄養と酸素が届いている状態)
・免疫寛容
(本来は異物を排除する免疫が、胚を受け入れる方向に働く状態)
などが関係すると考えられています。
鍼灸では
・血流のサポート
・自律神経の調整
・ストレスの軽減
といった面から、体の土台を整えていきます。
その中でも中髎は、
骨盤内の環境にアプローチしやすいツボのひとつとして、
移植に向けたコンディションづくりに取り入れられることがあります。
一部の研究では、中髎を含む骨盤周囲への鍼刺激によって
・子宮動脈の血流指標(PI値・RI値)の変化
・自律神経バランス(心拍変動など)の変化
がみられたという報告もあります。
※PI値・RI値とは、血流の“流れにくさ(抵抗)”を数値で表したもの。
高いほど滞りやすく、低いほどスムーズに流れている状態を示します。
これらは
・子宮への血流環境
・リラックスした状態(副交感神経優位)
と関わりがあるとされています
ただし、研究によって条件や対象が異なるため、
すべての方に同じ変化が起こるわけではありません。
そのため臨床では、数値だけでなく
体全体の反応やバランスを見ながら施術していくことを大切にしています。
不妊鍼灸については
・胚移植前後の鍼灸
・妊娠率や着床率への影響
に関する研究が国内外で報告されています。
一方で結果にはばらつきもあり、
現時点では「可能性が示唆されている段階」という医学的な位置づけです。
日本では
一般社団法人 日本生殖鍼灸標準化機関(JISRAM)などにより
中髎への刺鍼は、
子宮周囲の血流改善を目的とした
補助的なアプローチのひとつとして共有されています。
中髎の刺鍼は
解剖学的な理解が必要であったり、
体格に合わせた深さや角度、刺激量の見極めが大切になるため、
経験のある施術者による対応が望まれます。
セルフケアとしては、
やさしい温灸やお灸で温めるのもおすすめです。
中髎は
・骨盤内の神経や血流に関わる大切なツボ
・婦人科領域で広く使われている経穴
・移植周期の体づくりの一つとして活用されることがある
そんな特徴があります。
妊活は、ひとつの方法だけに頼るのではなく、
体全体を見ながら整えていくことがとても大切です。
当院では、不妊治療クリニックでの経験をもとに
周期や体質に合わせた妊活鍼灸を、
一般の妊活中の方にもお届けできればと思っています。
現在モニターも準備中ですので、
ご案内まで、もうしばらくお待ちくださいね。